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PAPAGOの台湾不動産関連コラム

不動産の所有と取引にかかる税金 その1【地価税】

2022-02-07

地価税(中国語:地價稅Di4Jia4Shui4)とは毎年831日に課税対象となる土地の所有者に対して課される地方税です。

 

馴染みがない方がほとんどかと思いますが、日本にも同じ名称の「地価税」と言う税金があります。バブル期の不動産投資による貧富拡大を抑制するために平成3年に施工された国税でが、バブル崩壊後は地価の急激な上昇はないとの見込みから、平成10年以降は課税が停止されています。日本の地価税は1戸当たり1,000㎡までの土地や1㎡当たりの価額や総額が一定額に満たない土地に対しては非課税となっており、主に富裕層や大企業を対象としたものでした。

 

 その観点からすると、台湾の地価税は免税点も極めて低く、決して富裕層や大企業を対象とした税金ではないため、漢字は同じですが日本の地価税ではなく、土地に対する固定資産税に相当すると捉えるのが適当と言えるでしょう。「土地に対する」と書いた理由は、台湾には日本の固定資産税に相当する税金は2種類あるためで、家屋(建物)に対する固定資産税は「房屋税」と呼ばれ、明確に使い分けられています。 房屋税については、別のコラムにて説明をしていきますので、ここでは地価税の説明をしていくこととします。

 

台湾の地価税は831日時点(日本の場合11日)での所有者に翌年1年分が請求されます(ちなみに房屋税は毎月の所有者)。普通徴収となっており、111日に各自治体よりバーコード付きの請求書が郵送されてくるため、1131日までに銀行やコンビニで納める形になります。一定の筆数以上の土地を所有していないと書留でなく普通郵便で送られてくるため、11月初旬を過ぎても届かない場合は、自治体(物件の所在地を管轄する税捐処)への確認が必要となります。延滞税は2日おきに1%とかなり高額なので気を付けておきましょう。

 

 税額は税捐処(日本の税務署に相当)が算定し、その額が請求書に記載されているため、自ら特別な手続き等をする必要はありません。厳密に言えば、課税標準額を決定するために、所有地の地価を申告する必要がありますが(中国語で申告地価と言う)、申告がない場合は、政府の定める公告地価の80%とすると定められていますので、実際に申告する必要はないです。

 さて、納税をするだけであれば、上記の事項だけ把握しておけば十分なのですが、どのような基準で算定がされるのか興味にある方もいらっしゃるかと思います。そこで本コラムでは課税の根拠となる計算式についての説明をしていくことにします。

 

 まず、台湾の地価税の算定計算式は以下の通りになっています。

 

★地価税=申報地価※②(課税標準額。原則、公告地価※①×80%)×標準税率

 

     公告地価

各自治体が土地の価値を算定し11日に公表しています。2年に1度改定され、中央政府や各自治体のホームページから調べることが出来ます。

(参考)中華民国内政部地政司

https://www.land.moi.gov.tw/chhtml/landvalue/42

※似た語句で「公告現値」がありますが、これは土地増価税を計算する基準となるもので地価税の基準ではないので注意が必要です。

     申報地価

原則として申報地価は公告地価の80%の値となります。ただし、別途、自己が所有する土地の価値を申告することもでき、公告地価の80120%の間での申告が可能です。以前は、節税目的で80%を超えて申告する場合もありましたが、現在は節税効果もほぼないため、敢えて80%を超えて申告する人はほぼいません。なお、申告がなければ自動的に、申報地価=公告地価の80%として計算がなされます。

 

なお、日本の固定資産税の計算式は「固定資産税=固定資産税評価額(課税標準額)×標準税率(原則1.4%)」となりますので、ほぼ同じような計算方式であることが分かります。課税標準を理解したところで、次に税率を見ていきます。

 

税率は原則10/1000545/10001%~5.45%)までの累進課税となっています。

 

申報地価が累進起点地価以内の部分

10/1000

申報地価が累進起点地価を超えて5倍以内の部分

15/1000

申報地価が累進起点地価の5倍を超えて10倍以内の部分

25/1000

申報地価が累進起点地価の10倍を超えて15倍以内の部分

35/1000

申報地価が累進起点地価の15倍を超えて20倍以内の部分

45/1000

申報地価が累進起点地価の20倍を超える部分

55/1000

 

累進起点地価とは、各自治体における700㎡当たりの平均地価で、各自治体により公表されます。この起点を超えていれば、富裕層とみなされ、高い税率が適用されます。この表を見るだけでは分かりにくいため、累進起点地価が1,000万元の場合を例としたものを作成してみます。

 

【累進起点地価が1,000万元の時の税率表(地価税)】

申報地価が累進起点地価以内の部分

 ➡1,000万元以内

10/1000

申報地価が累進起点地価を超えて5倍以内の部分

 ➡1,000万元超~6,000万元以内

15/1000

申報地価が累進起点地価の5倍を超えて10倍以内の部分

 ➡6,000万元超~11,000万元以内

25/1000

申報地価が累進起点地価の10倍を超えて15倍以内の部分

 ➡11,000万元超~16,000万元以内

35/1000

申報地価が累進起点地価の15倍を超えて20倍以内の部分

 ➡16,000万元超~21,000万元以内

45/1000

申報地価が累進起点地価の20倍を超える部分

 ➡21,000万元超

55/1000

 

余談ですが、2020年の台北市の累進起点地価は3,9961,000元(約4,000万元)に設定されています。屏東県の場合は801,000元のため如何に台北の地価が高いかが分かりますね。

 

 それでは、ここからは実際に事例を挙げて地価税の計算をしてみましょう。

 

【事例】

・公告地価:1,250万元

・申報地価(課税標準):1,000万元(1,250万元×80%で自動計算)

・累進起点地価:100万元

・面積:200

 

これを税率表に当てはめてみると…

申報地価が累進起点地価以内の部分

 ➡100万元以内

相当部分100万元×10/10001万元

申報地価が累進起点地価を超えて5倍以内の部分

 ➡100万元超~600万元以内

相当部分500万元×15/10007.5万元

申報地価が累進起点地価の5倍を超えて10倍以内の部分

 ➡600万元超~1100万元以内

相当部分400万元×25/100010万元

総額(地価税)

18.5


この土地の所有者がこの年に納める地価税は18.5万となります。1,000万元の土地に対して、18.5万という固定資産税は高く感じますが、1,000万元はあくまでも実勢価格ではなく申報地価であるため決して高くはありません※。 

 

【参考※】公告地価(申報地価)は実勢価格とは大きな乖離あります。日本でも固定資産税評価額と実勢価格には3割程度の乖離がありますが、台湾の場合、より大きくなります。例えば、台北市中山区中山北路一段100号の公告地価を調べてみると95,000元/㎡と公示されています。ただしこのエリアの土地の実勢価格は250万元程度となっており、何十倍以上の乖離があることが分かります。

 

 さらには、日本と同じく、様々な優遇税率の特例制度が利用可能です。代表的なものは自宅として利用する際の住宅用地の特例であり、税率が一律で2/10000.2%)となり、さらに累進課税制度も適用されません。住宅用地の特例を利用することで、先ほど18.5万元だった地価税が、2万元(1,000万元×2/1000)となります。なお、本事例で面積が200㎡とあるのは、300㎡を超える部分には住宅用地の特例が適用されないためです。

 

 また、住宅用地の特例は外国人も利用することが出来ます。条件は、居留証を保持していること、そして住宅用地の特例を利用する住所が、居留証に記載されている住所となっていることです。この条件を満たしていれば毎年922日までに管轄の税捐処に申請することで台湾人同様に2/1000の特例税率が適用されます。土地増価税や房地合一税のように契約日の前1年間に183日以上、台湾に居住してないといけないなどの条件もないためとても簡易的な制度と言えるでしょう。

 

今回は、日本の土地に対する固定資産税に相当する地価税の説明をしてまいりました。公告価格(申報価格)と言う台湾独自の制度、そして住宅用地の特例を利用すれば、負担の大きい税金ではありません。特に区分所有建物の場合は、房屋税の方は高額になる場合が多いため、そちらの方をより注目することになります。その他、不動産の権利移転や保有にかかる税金の紹介もしていますので、興味がある方は、ぜひ別コラムもご覧ください。