買い替え特例(中国語:重購退税Chong2Gou4Tui4Shui4)は、(元の)不動産を売却した前後一定期間内(現行では前後2年以内)に新しい不動産を購入した場合に、納税が免除又は帰納の税金が還元される制度です。自宅の買い替えのみが対象となります。日本の譲渡所得税制にも同じ仕組みがありますが、台湾の場合は、房地合一税のみでなく、土増税も適用対象となっています。どちらも、売却した不動産よりも購入した不動産の価格の方が高ければ免税又は還元となりますが、条件やその他細かい点でいくつかの違いがあります。違いは下表のとおりです。
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土地増価税 |
房地合一税 |
適用不動産 |
土地 |
土地・建物 |
適用対象者 |
土地の所有者(制限なし) |
土地・建物の所有者(本人・配偶者・未成年子女に限る) |
期間制限 |
売買の両取引の間隔が2年以内 |
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回数制限 |
制限なし |
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自宅用の定義 |
1、 本人・配偶者・直系血族の戸籍地 2、 土地上の建物が本人・配偶者・直系血族の所有 3、 売却1年以内に賃貸・営業の用なし |
1、本人・配偶者・未成年子女の戸籍地 2、土地上の建物が本人・配偶者の所有 3、〃 |
面積制限 |
都市地域300㎡以内、非都市地域700㎡以内 |
制限なし |
その他の制限 |
1、5年以内に自宅以外の用途禁止 2、5年以内に売却・贈与禁止 3、請求権の時効は10年 |
1、〃 2、〃 3、請求権の時効は5年 |
優遇税制 |
1、売却価格<購入価格=全額免除、還元 2、売却価格>購入価格=免除、還元なし |
1、売却価格<購入価格=全額免除、還元 2、売却価格>購入価格=割合免除、還元※ |
※例えば、元の家を1000万元で売却をし、800万元で新しい家を購入し、その際に100万元の房地合一税を納めていた場合には、差額の20%のみ課税がされて80%に当たる80万元が免除もしくは還元されます。
なお、買い替え特例は「一生一次」および「一生一屋」との併合も可能です。併合利用するか、単独利用するかは、その時の状況により使い分けていく必要があります。買い替え特例には回数制限がないため、税額が少額である場合には、「一生一次」は使わないでおいておくと言うのも一つの選択肢ですね。
今回は、土地増価税と房地合一税に適用される買い替え特例の紹介をしました。「一生一次」「一生一房」と併せて重要な節税制度になります。これらを正しく理解しているか、していないかで数百万単位での差が出てきますので、台湾で不動産を購入・売却される方は必ず押さえておくべきでしょう。その他、不動産の権利移転や保有にかかる税金の紹介もしていますので、興味がある方は、ぜひ別コラムもご覧ください。